このゴールデンウイークに読み切ろうと思っていた本の2冊目。短歌を知りたかったので短歌の入門書としてこの本を購入した。
私が知りたかったことは、短歌を作る上でのルール、良き短歌の法則、技巧などなど書くにあたって最低限知っておきたいことについてだった。この本がそれに対して正しい選択だったかというとそうではないような気がする。多分短歌自体が上にあげたことを意図的に重用するときっと短歌としては微妙になってしまうのではないかと感じた。
でも一方でこの本の中では良き短歌のルールについて、良いとされる短歌を改悪する例を作ることで、この歌が優れていた理由をあぶり出し言語化する。
本の中では「社会を生き延びる」ことと、「生きる」ことを対比して短歌の魅力を解説してる。私は社会性とははなれたところにある特異性、人間性を彫刻することが短歌の魅力だというふうに感じた。例に出てくる短歌は確かに改悪前が一番良いということを知識のない私でもおぼろげに感じられた。
これを読んで短歌が迷わず作れるようになるかというとそういう本ではないように思うが、一方でなんとなく短歌とはこういうものかという細い紐を垂らしてもらえたような気がする。あとおそらくあんまり技巧にこだわらず自分に向かい合って自由にガンガン作っていって良いのでは、それでどこかで揉んで貰えばいいのでは、そんな気持ちにさせてもらえる本だった。
個人的には著者が魅力に思う人間像がわかる気もしつつ社会性から行くと全ての人が共感しないかもしれない、でも確かにわかる。そんなところがくすくすくる本でもあった。
解説を読んで、これが社会人向けセミナーで話されたことがベースとなっていた問いあと頃を読み、今の私の仕事状況を鑑みてあぁなるほど響くはずだと感じて何やら見透かされた思いになった。